短章2|徒歩漫筆【35通目】
習慣について
kei
2025.01.22
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学生の頃、知人の紹介で、中学生の家庭教師をしたことがあった。受け持った少年は、悪友といつもクラスのビリを争っていると笑う。
当然ながら、全く学習習慣のない子だった。でも、それはつまり「それだけ」を変えればいいということでもあった。必要なのは、シャーペンを持ち、紙に向かう習慣だけだった。
私が定期的に訪れて、一緒に問題集や教科書に向き合うだけで、次のテストでは、ほとんど埋まらなかった答案が少しは埋まるようになる。そうすれば、クラスの何もしない仲間よりは、順位が上がる。それを繰り返すうちに、素直な彼は、みるみる順位を上げた。関心のある分野を深める学びまではいかなくとも、成績が上がること自体、十分面白いことなのだ。