短章1|徒歩漫筆【34通目】
旅の途中で
kei
2025.01.16
読者限定
ある国の小さな街を旅している途中、たまたま出会った日本人男性と、短い時間、言葉を交わすことになった。その人は、天皇陛下と同い年だと言う。つまり私の母とも同い年。今は、中部地方のある街でひとり暮らしをしており、若い頃の結婚は6年で終わったそうだ。
謙遜の方向性が間違っているのか本気なのか、何を話してもどこか愚痴っぽい人だった。首からは立派なカメラを下げていて、こうして海外旅行に来る時間と金銭的余裕もあるはずなのにどうして、と思う。